NISSHA、連結営業赤字に転落 買収したUSMののれんを6,759百万円減損
NISSHAの2026年上期は、連結売上高が前年同期比1.0%減にとどまる一方、連結営業損失は4,500百万円となった。5月に買収したベトナムの医療機器メーカーUSMで、買収前の不適切な会計処理が判明し、のれんの減損を計上した。さらに、主力のフィルムタッチセンサーを扱うディバイス事業では、タブレット向け需要も大幅に減少している。
売上の小幅減少に対し、連結営業損益は赤字へ
2026年上期の連結売上高は前年同期比1.0%減の96,033百万円。連結営業損益は前年同期の2,558百万円の利益から4,500百万円の損失となった。
前年同期との連結業績比較は、企業結合に関する暫定的な会計処理の確定を反映した金額に基づく。連結セグメントの比較も、当期の区分変更に合わせて組み替えた前年同期の数値を用いている。
USM買収後に不適切会計が判明、のれんを減損
NISSHAは2026年5月20日、ベトナムのUSM株式60%を取得して連結子会社化した。USMは医療機器を製造・販売する会社だが、本報告書ではディバイス事業に含まれる。
会社によると、USMの買収後の経営統合と初回の連結決算の過程で、買収前からの循環取引を中心とする不適切な会計処理が判明した。NISSHAが関与した事実はないとしている。グループの企業価値の保全・向上は困難と判断し、保有株式の譲渡を決めた。事業計画の見直しにより当初想定した収益が見込めなくなったことが、のれんの減損につながった。
当上期の連結決算では、USMののれんの帳簿価額を回収可能価額まで引き下げ、減損損失6,759百万円を計上した。この損失は連結損益計算書の「その他の費用」に含まれる。
期末後の2026年9月4日、グループが保有するUSM株式の全てを譲渡する契約を締結した。USM株式の50%は9月17日に譲渡を実行し、報告書提出日時点では10%を保有する。残る10%の譲渡は2027年9月中旬~2028年9月中旬を予定している。
会社は、USM株式の譲渡に伴い2026年12月期の連結決算で関係会社売却損益を計上する見込みだが、重要な影響はないとしている。これは株式譲渡に伴う損益の説明であり、当上期に計上したのれんの減損とは別の項目である。
連結セグメントではメディカルが増収増益、産業資材は増収でも減益
- 当上期の連結セグメントのディバイスは、外部顧客向け売上高が前年同期比23.1%減の22,868百万円、営業損失が6,050百万円となった。前年同期は1,097百万円の営業利益だった。
- 当上期の連結セグメントの産業資材は、外部顧客向け売上高が前年同期比9.5%増の41,147百万円、営業利益が27.9%減の1,519百万円と、増収でも減益だった。
- 当上期の連結セグメントのメディカルは、外部顧客向け売上高が前年同期比8.0%増の29,034百万円、営業利益が11.1%増の1,905百万円と、増収増益だった。
会社は、連結セグメントのディバイスではタブレット向け需要が大幅に減少し、USMののれんの減損も加わって営業赤字となったと説明している。産業資材ではモビリティ向け外装機能部品の需要が増えた一方、生産関連費用の増加などで減益となった。メディカルでは医療機器や医薬品の開発・製造を受託するCDMOの需要が堅調に推移したとしている。
次に確かめたいのは、需要と生産費用の動き
連結セグメントのディバイスでタブレット向け需要がどう動き、産業資材では生産関連費用が利益にどう影響するか。
今回の連結営業赤字を読むうえでは、USMののれん減損の大きさと、各事業の需要・費用の変化を併せて捉える必要がある。メディカルが増収増益を維持する一方、ディバイスと産業資材にはそれぞれ異なる収益上の課題が表れた。
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