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データで読む開示

しまむら客数前年比、春夏差を読む

しまむら事業の全店客数前年比は、春の+6.4%から夏の-2.5%へ8.9ポイント下がった。2020~2022年度を除く8年度では最大の落差だ。ただし春の伸びも8年度で最高で、夏単独は低い方から3番目。落差だけで「夏は過去最悪」とは読めない。

最初に要点

  • 公表客数前年比の春夏差は-8.9ポイント。2020~2022年度を除く8年度で最大だが、春の+6.4%も最高で、夏の-2.5%は低い方から3番目。全11年度では落差は2番目だ。
  • 6・7月度の客数前年比は前年割れだった。四半期の土日総数は前年と同じで、過去の土日配置との関連を使った月次の調整後もマイナスが残る。ただし、土日の経済効果や客数減少の原因まで特定した結果ではない。
  • 8・9月度の客数前年比はプラス。9月度の全店売上+10.9%には客数+3.8%と客単価+6.8%の動きが並び、売上の伸びをそのまま客数の伸びとは読めない。

春から夏への落差は、何を示すのか

今回比べるのは、しまむら事業の全店について会社が公表した「前年の同じ四半期に対する客数の伸び率」だ。春は3~5月度、夏は6~8月度。月度は暦月ではなく前月21日から当月20日までを指す。春の+6.4%と夏の-2.5%の差が-8.9ポイントであり、春から夏へ客数の実数が8.9%減ったという意味ではない。

2016~2026年度の11年度を並べ、2020~2022年度を除いた8年度で見ると、今年の落差は最大だった。同時に春の伸びも8年度で最大で、夏の伸び率は低い方から3番目。図の左右の点を一緒に見ると、「落差が大きい」ことと「夏単独が過去最も弱い」ことは別だと分かる。全11年度を含めれば、落差は2021年度に次ぐ2番目になる。

この後、土日の配置だけで6・7月度の前年割れが消えるかを確かめ、8・9月度と9月の売上の内訳まで見る。対象は会社公表の比率だ。決算概要の併記実数と公表前年比には未解明の不一致があるため、複数年分の率をつないで実際の客数水準や回復を示すことはしない。

しまむら事業の全店客数前年比を2016~2026年度のうち2020~2022年度を除く8年度で比較。2026年度は3~5月度がプラス6.4%、6~8月度がマイナス2.5%。春の伸び率は8年度で最も高く、夏は2018年度マイナス3.6%、2019年度マイナス8.4%より高い。前年同四半期に対する伸び率で、春から夏への客数水準の変化ではない。
前年の同四半期に対する客数の伸び率。2020~2022年度を除く8年度を比較し、全11年度なら2026年度の落差は2番目。図を拡大表示
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落差が最大でも、夏の前年比は最低ではない

春と夏の差を過去と比べるには、各年度について会社が公表した四半期の客数前年比をそのまま使う。月ごとの前年比を単純平均して四半期の率を作ると、月ごとの客数規模の違いを無視するからだ。2026年度を含む8年度で、春の伸び率、夏の伸び率、夏から春を引いた差をそれぞれ別に並べた。

夏の-2.5%より低かったのは、同じ8年度の2018年度の-3.6%と2019年度の-8.4%だ。春が+6.4%と高かったため、今年は両四半期の伸び率の差が大きく見える。これは差の計算上の説明であり、春の好調が夏の客数を減らしたという因果関係ではない。

8年度での順位は、この比較対象を選んだ場合の位置だ。2020~2022年度も入れると2021年度の春夏差は-29.6ポイントで、今年の-8.9ポイントは11年度中2番目になる。どちらの順位も、異常が起きた確率や今後の客数の予測ではない。

2026年度の公表客数前年比を別々に位置づける

見る数値2026年度2020~2022年度を除く8年度での位置
春・3~5月度+6.4%最も高い
夏・6~8月度-2.5%低い方から3番目
夏−春の伸び率差-8.9ポイント最大の低下

いずれも前年の同四半期に対する率。全11年度では差は2番目に大きい低下。

土日が少なかっただけで、6・7月の前年割れを説明できるか

まず、会社の月度に合わせて日付を数え直した。春の3~5月度は2025年、2026年とも89日で土曜13日・日曜13日。夏の6~8月度も両年とも92日で土曜13日・日曜13日だ。6月度には土曜が前年より1日多く、7月度には1日少ないが、夏の合計では同じになる。ただし、月によって売れる量や曜日ごとの寄与が違えば、土日の経済効果まで相殺するとは言えない。

そこで、月ごとの土日配置の影響をどこまで考えられるか、過去の公表客数前年比と曜日数の関係を使って診断した。2021~2023年2月期を除く7年度、計84か月の同じ1社の月次を使い、月特有の動きと年度ごとの差を分けて推定する方法だ。例えば、土曜が前年より1日少ない7月度について、過去に同様の配置差と前年比がどの程度一緒に動いたかを参考にする。2026年の月次は関係の推定に入れていない。

この過去の関連で土日配置の寄与を差し引いた参考値でも、6月度は約-3.6%、7月度は約-5.7%だった。公表値の-3.4%、-5.9%から符号は変わらない。ある年度の特徴だけで決まっていないかを確かめるため、学習期間から年度を一つずつ外した7通りでも両月はマイナスだった。単純な土日配置の違いだけで前年割れが消える結果ではない。

一方、これは土日と公表前年比の過去の関連を当てはめた結果で、実客数や需要の「暦を取り除いた真値」ではない。祝日、天候、販促などはそろえておらず、推定した曜日との関係にも幅がある。会社は6月度の梅雨空と肌寒さ、7月度の梅雨空と台風接近を夏物需要鈍化の理由に挙げたが、今回の分析で天候の効果を独立に測ったわけではない。

月次の公表客数前年比と土日配置を調整した参考値

2026年月度会社公表過去の関連で土日配置を調整
6月度-3.4%約-3.6%
7月度-5.9%約-5.7%
9月度+3.8%約+2.1%

7年度84か月の同じ1社から推定した観測的な調整。原因の切り分けや将来予測ではない。

8・9月のプラスと9月の増収をどう読むか

公表客数前年比は6月度-3.4%、7月度-5.9%だったが、8月度+2.9%、9月度+3.8%となった。6・7月度の前年割れが、その後の月まで続いたとは言えない。ただし、夏の四半期全体では-2.5%であり、8・9月のプラスだけで春からの伸び率の鈍化や需要の構造変化の有無が決まるわけでもない。

9月度は全店売上が前年同月比+10.9%だった。同じ公表表では客数が+3.8%、客単価が+6.8%。売上の伸びを見ただけでは客数の動きは分からない。客単価は一度の購入で選ばれた商品の点数や構成も映す平均で、+6.8%を商品の値上げ率とは読めない。

ここで使う客数はしまむら事業の全店指標で、同じ人が何度訪れたかを除いた人数や、毎月同じ既存店群の客数ではない。公表比率と決算概要に併記された実数との不一致も未解明だ。したがって、月次のプラスを「失われた客数が戻った」と実数の水準で証明する材料にはしない。

2026年3~9月度のしまむら事業全店の公表前年比。客数は6月マイナス3.4%、7月マイナス5.9%の後、8月プラス2.9%、9月プラス3.8%。客単価は9月プラス6.8%、同月の売上はプラス10.9%。月度は前月21日~当月20日。客単価は値上げ率ではない。
客数と客単価は、しまむら事業全店の会社公表前年比。9月の売上前年比は+10.9%。図を拡大表示

次に開示を読むときの確認リスト

  1. 次の月次では、春夏の落差と各四半期の前年比を分けて読み、8・9月度の客数前年比プラスが続くかを確かめる。
  2. 売上が伸びた月は、同じ表の客数と客単価を並べて見る。客単価の変化をそのまま値上げ率とみなさない。

まとめ

しまむら事業の公表客数前年比は、2020~2022年度を除く8年度で最大の春夏落差を示した。しかし春の伸びも最大で、夏単独は過去最低ではない。土日配置を見ても6・7月度の前年割れは残る一方、8・9月度には公表値がプラスへ戻った。落差の大きさ、夏自体の位置、月次の継続を順に確かめると、一つの数字から持続的な客離れや回復を即断せずに済む。

次の開示でも、公表客数前年比と売上・客単価の動きを分けて追いたい。今回の比較は原因や構造変化を確定しておらず、実数表との不整合も解決していない。

参照した開示・一次情報