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データで読む開示

物語コーポレーションの売上加速、主役は海外 増収額の65.7%は海外以外

物語コーポレーションの連結売上の伸びは、2025年6月期の15.6%から2026年6月期の22.4%へ高まった。加速の中心は海外カテゴリーの寄与上昇だ。ただし、2026年6月期に増えた売上額の過半は海外以外だった。

最初に要点

  • 連結売上成長率の上昇幅6.76ポイントのうち、海外カテゴリーの成長寄与の上昇は6.14ポイントだった。FY2026は2026年6月期を指す。
  • 一方、FY2026の増収額の65.7%は海外以外だった。ここでいう海外以外は、連結売上からFactbookの海外カテゴリー売上を引いた残額で、地理別の国内売上そのものではない。
  • 海外の伸びには米国事業の売上・費用を連結に含め始めた影響がある。米国売上の単純控除後も全社は18.07%増で、前年の15.65%増を上回った。

売上の伸びは、どこで速くなったのか

知りたいのは、売上がどこで多く増えたかだけではない。前年より全社の伸びが速くなった場所だ。同じFactbookに載る物語コーポレーションの連結売上と海外カテゴリー売上を使い、FY2025とFY2026を比べた。連結売上の伸びは15.65%から22.41%へ上がり、差は6.76ポイントだった。

図の棒全体は各年の連結売上成長率、色の部分は海外と海外以外の押し上げ分を示す。この押し上げ分を「寄与」と呼ぶ。海外で増えた売上を、その年の前年連結売上で割ると、海外が全社の成長率を何ポイント押し上げたか分かる。海外以外も同じ分母で測る。海外以外は連結売上から海外カテゴリー売上を引いた残額であり、厳密な地理別国内売上ではない。

海外の寄与は1.54ポイントから7.68ポイントへ高まった。一方、海外以外は14.11ポイントから14.72ポイントへの小幅な上昇だった。海外以外が高い押し上げを続ける上に、海外の押し上げが今回は大きく増した。この差が全社の加速を説明する。海外の数字には、米国事業の売上・費用をFY2026から連結に含めた変化も入る。

物語コーポレーションの連結売上成長率はFY2025の15.6%からFY2026の22.4%へ上昇。海外カテゴリーと海外以外(連結売上から海外カテゴリーを控除した残額)の寄与を前年連結売上を分母に分解すると、加速の大半は海外の寄与上昇に対応する。一方、FY2026の増収額の約66%は海外以外。海外には米国事業の損益連結開始が含まれる。
棒全体は連結売上成長率。海外以外は連結売上から海外カテゴリーを引いた残額で、地理別国内売上そのものではない。図を拡大表示

増収額は海外以外が大きい。それでも加速の中心が海外なのはなぜか

金額で見ると、FY2026に増えた売上は海外以外の方が大きい。こちらの分母は、その年の全社増収額だ。一方、成長率の加速を調べる時は、各年の前年連結売上を分母にした寄与がどう変わったかを見る。

海外以外は前年から大きな押し上げを続け、海外は今回その押し上げを大幅に増した。だから、増収額の最大区分と、前年から全社の伸びを変えた区分が違う。

同じ増収でも、分母と問いが違う

見ているもの分母・比べ方FY2026について分かること
増えた売上額の内訳全社増収額27,768百万円海外以外18,247百万円で65.7%
成長率の加速各年の前年連結売上を分母にした寄与の年度間差全社+6.76ポイントのうち海外寄与の上昇+6.14ポイント

海外以外は連結売上−海外カテゴリー売上。金額と寄与には異なる分母を使う。

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米国の新規連結だけで加速は説明できるか

米国のStorytellers USAと傘下6社は、FY2025には資産・負債だけが連結対象で、売上・費用はFY2026から連結に入った。会社開示のFY2026米国売上は5,379百万円。海外の寄与上昇には、この計上範囲の変化が含まれる。

米国の新規計上だけで全社の加速を説明できるかを確かめるため、FY2026の連結売上から米国売上5,379百万円を単純に差し引く。計算上の伸びは18.07%で、FY2025の15.65%をなお2.42ポイント上回る。米国以外の海外も、会社の国別表では4,163百万円増えていた。

18.07%は米国の国別売上を単純に引いた値で、米国に対応する連結調整や為替、買収前の売上までそろえた既存事業の成長率ではない。国別表は連結調整前の値なので、主図の海外カテゴリーとも対象が異なる。

海外以外の大きな増収を支えた、前年に開いた店

海外以外の増収額が大きい背景を、対象の異なる国内店舗の会社説明で確かめる。会社の出店年度別の説明では、前年に開いた店舗がFY2026にもたらした追加売上は6,816百万円。当年に開いた店舗の6,202百万円を上回った。閉店・休業による246百万円減を合わせた店舗数拡大の増収分は12,772百万円だ。

前年に開いた店も、翌年度の増収を当期の新店以上に支えた。この会社説明の国内店舗の増収分は、連結売上から海外カテゴリーを引いた「海外以外」とは対象が異なる。

国内既存店の売上改善は、客数の加速とは違った

もう一つの国内の手掛かりは、開店から18カ月以上たった直営既存店だ。売上の前年比はFY2025の4.2%増からFY2026の5.0%増へ高まった。一方、客数も増えてはいるが、伸び率は2.5%から1.4%へ下がった。会社公表の客単価の伸びは1.7%から3.6%へ拡大した。売上の改善を客数の一斉加速と読むことはできない。

売上の伸びを客数側と客単価側へ分けると、売上成長率の改善0.80ポイントに対し、客単価相当の側は+1.90ポイント、客数側は−1.10ポイントだった。客単価相当は、前年を100とした売上指数を客数指数で割って求める。例えばFY2026は105.0÷101.4−1で約3.55%増となり、会社公表の3.6%増と末尾が少し違う。この内訳は国内直営既存店の売上改善を表し、全社の成長寄与とは別の量だ。客単価には価格だけでなく、選ぶ商品や店舗構成の変化も入る。

もっとも、客数の伸びが通年一様に弱まったわけでもない。同じ暦月の前年比同士を比べると、下期の1〜6月には客数の伸びの持ち直しが見られた。客単価相当の伸び拡大は12カ月中11カ月に広がったが、ゆず庵のFY2026の客数も通期で4.8%増だった。国内を一つの客数低迷という言葉で括らず、時期と業態の違いまで見る必要がある。

国内直営既存店のFY2025からFY2026への前年比は、売上が4.2%増から5.0%増、客数が2.5%増から1.4%増、会社公表客単価が1.7%増から3.6%増。売上の伸びが上昇する一方で客数の伸びは低下し、客単価の伸びが拡大した。
対象は開店18カ月以上の国内直営既存店。客数の伸びは下期に持ち直しも見られた。図を拡大表示

まとめ

物語コーポレーションのFY2026の増収額は海外以外が65.7%を占めた。その大きな土台の上で、海外カテゴリーの寄与が前年から6.14ポイント高まり、連結売上成長率の加速6.76ポイントの中心となった。増収額の最大区分と、伸びを速くした区分は異なる。

海外には米国事業の損益連結開始を含むが、米国売上の単純控除後も全社の伸びは前年を上回った。国内では前年出店分と既存店の平均支出が売上を支え、客数には下期の持ち直しもあった。次の開示で海外の計上範囲と地域別の伸び、国内既存店の客数を分けて見ると、同じ連結成長率でも中身の変化を捉えやすい。

参照した開示・一次情報