Investment Support Platform投資判断支援プラットフォームEDINET開示を、投資家の判断材料へ
日曜15分、報告書を読む入門154

増減を3つのメモに分ける――数値事実・会社説明・未確認の推測

この回を終えると、長期推移から気になる増減を見つけ、原本の同じ指標について会社の説明を探せる。最後に、確認した事実、会社が述べた説明、まだ裏付けを見ていない自分の考えを分けて書く。

シーズン14 / 12

この回でいちばん伝えたいこと

増減を見つけたら、数値事実、会社説明、まだ確かめていない自分の考えを3つのメモに分ける。

はじめて読む人へ

先に、この言葉だけ

主要な経営指標等の推移
今回のSBG原本では、同じ指標が5期分並ぶ表だ。まず長い動きを見て、詳しく読む2期を決める。
連結
今回は、原本で「連結経営指標等」と示されたグループの表を使う。
MD&A
この回で開く「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の呼び方だ。
増収
売上が前の期間より増えることだ。SBGの直近2期では、売上が7,243,752百万円から7,798,650百万円へ増えている。
経常利益
あみやき亭の原本課題で探す利益行の名前だ。今回は原本にある名称のまま読む。
SBGの有価証券報告書を3段階で読む図。1はPDF表示3ページの連結売上の同じ行を2022年3月から2026年3月まで横に見て、直近2期へ絞る。2はPDF表示38ページで2025年の7,243,752百万円と2026年の7,798,650百万円を比べ、会社がソフトバンク事業とAIコンピューティング事業はいずれも増収と説明している箇所を読む。3は、数値事実、会社説明、未確認の推測を別々のメモへ分ける。
5期の同じ行から直近2期へ絞り、同じ指標の会社説明を読んで、3つのメモに分ける。 画像を押すと大きく表示できる。

この回を終えるとできること

主要指標の長期推移を入口に、数値事実、会社説明、未確認の推測を分けられる。

  • 5期の同じ行を横に見て、詳しく読む直近2期を決める
  • 期間、単位、連結の範囲をそろえ、同じ指標の会社説明を探す
  • 確認した値、会社が述べた説明、未確認の自分の考えを3つのメモにする

SBGで完成例を見る――5期から3つのメモまで

教材はソフトバンクグループの有価証券報告書S100YGH5だ。この記事下部の「EDINET|ソフトバンクグループ 有価証券報告書」から原本を開く。5期表で気になる動きを見つけ、直近2期の表と会社説明へ進む。

時間見る場所PDF検索語確認すること
45期の同じ行を見る|主要な経営指標等の推移3/315主要な経営指標等の推移「(1)連結経営指標等」を確認する。単位が百万円の「売上高」の行を、2022年3月から2026年3月まで左から右へ読む。6,221,534、6,570,439、6,756,500、7,243,752、7,798,650百万円と5期で増えている。詳しく読む対象を2025年と2026年の2列へ絞る。
3会社の分析へ移る|経営者による分析34/315経営者による財政状態「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を探す。ここには、経営者の視点による同社の経営成績等の認識や分析・検討内容がある。次に売上の説明を探す。
4直近2期を説明と対応させる|連結経営成績38/315売上高「a.連結経営成績の状況」で、3月31日に終了した1年間、単位:百万円、2025年と2026年の列を確認する。売上は7,243,752百万円から7,798,650百万円へ増え、増減は554,898百万円、増減率は7.7%だ。同じページの「A 売上高」では、会社はソフトバンク事業とAIコンピューティング事業がいずれも増収と説明し、詳しく読む事業別の箇所も示している。
43つのメモに分ける|確認済みと未確認3・38/315売上高数値事実は「連結売上が2025年の7,243,752百万円から2026年の7,798,650百万円へ増えた」。会社説明は「会社はソフトバンク事業とAIコンピューティング事業がいずれも増収と説明した」。未確認の推測は、たとえば「今後も同じ増収が続く」だ。この考えは原本で確認した事実や会社説明へ混ぜず、次に確かめるメモとして残す。

原本でたどる

あみやき亭の第31期有報で、同じ3メモを作る

有価証券報告書S100Y9U0 / 証券コード 2753

ここからは別会社で1問だけ試す。あみやき亭の有価証券報告書S100Y9U0を開く。まず5期表の経常利益をたどり、直近2期へ絞る。答えとなる値、増減の向き、会社が挙げた要因は、ここでは示さない。

原本を開かないと解けない1問

原本で5分。経常利益を3つのメモに分ける

操作:原本を開く。PDF表示2/101ページで「主要な経営指標等の推移」を検索する。「連結経営指標等」の「経常利益」の行を第27期から第31期まで横に見る。単位と決算年月を確認し、第30期と第31期へ絞る。次に17/101ページの「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」から「(1)経営成績等の状況の概要」「①財政状態及び経営成績の状況」へ進む。

問題:3つのメモを作ろう。1つ目に、第30期と第31期の連結経常利益の値と増減を書く。2つ目に、会社が述べる減益要因を1つ書く。3つ目に、まだ確かめていない自分の推測、または次に確認したい点を1つ書く。

ヒント:20/101ページの「経営者の視点による…」へ着いたら、そこにある参照案内を見て17ページへ戻る。数値の差額や費用別の影響額は計算しなくてよい。

答えを確認する

数値事実は、連結経常利益が第30期(2025年3月)の2,726百万円から第31期(2026年3月)の2,344百万円へ減少したことだ。会社説明は、原材料価格等の高止まり、人件費・物流費の増加、販促活動費の増加のうち、原本に沿って1つ挙げればよい。3つ目は複数の答えがある。たとえば「どの費用の増加が減益に最も影響したか」は次の確認点になる。今回の抜粋には費用別の影響額がないため、確認済みの事実とは分けて書く。

巡回で防ぐ取り違え

5期の動きと直近の説明を混ぜない38ページの説明を、5期すべての増収理由へ広げない。
会社説明には主語を置く「会社は…と説明する」と書く。自分が確認した数値事実と分ける。
寄与額を作らない今回の根拠には2事業の増収額がない。会社が示した事業名までを書き、金額を補わない。
未確認を事実のように書かない今後の増収など、まだ裏付けを見ていない自分の考えは別のメモにする。

別の会社でも使う確認順

  1. 「主要な経営指標等の推移」で連結の表を選び、同じ指標の行を複数期で見る
  2. 詳しく読む2期を決め、期間、単位、行、列をそろえる
  3. 「経営者による分析」で同じ指標を探し、会社が示す説明と参照先を読む
  4. 確認した数値事実、会社説明、未確認の推測または次の確認点を別々に書く
  5. 直近の説明を長期全体の理由へ広げず、未確認の点は次に読む場所として残す

この記事で確認した資料

まとめ

5期の同じ行は、詳しく読む増減を見つける入口になる。

直近2期の期間、単位、範囲をそろえ、同じ指標について会社が何を説明しているかを読む。

数値事実、会社説明、未確認の推測を分ければ、確認できた範囲を保ったまま次の問いを残せる。